信頼関係の構築が難しい上司と部下の関係性
信頼関係の構築は、プロジェクトを成功させるうえで重要な要素です。しかし、信頼関係は一朝一夕で構築できるものではありません。特に世代の異なる上司と部下の関係性においては、多くの課題があるといってよいでしょう。
実際、2014年3月に日本法規情報株式会社が発表した「職場への不満についての意識調査」を見ると、90％以上が「職場に不満がある」と回答しています。そして何に対して不満があるのかといった問いに対しては、「上司」という回答が、「賃金」に次いで多いという結果が出ています。
またイギリスの会計事務所・Ernst&Young（アーンスト・アンド・ヤング）が、2016年6月に世界8カ国を対象に行った職場の信頼関係に関する調査でも、社員が上司やチームメンバーを信頼していると回答したのは49％と、半分にも達していません。
このことからも、上司と部下の間で信頼関係を構築するのは、簡単ではないことがおわかりいただけると思います。
信頼関係を築くには、ある程度の時間をかけ、じっくりとコミュニケーションを取っていくことが必要です。
しかし時短勤務やテレワークの増加、働き方改革による残業規制で業務の負担が増えたことなどにより、物理的に部下とコミュニケーションを取る時間が減少。これにより、信頼関係の構築はさらに困難になっているといえます。
信頼を生む「1on1ミーティング」が組織を強くする
信頼関係を構築することが重要であることはわかっていながらも、その方法がわからずに悩んでいる企業は少なくないでしょう。そこでおすすめしたいのが「1on1ミーティング」です。これは2012年、Yahoo!JAPANが始めたことで話題になった人材育成施策の1つです。
具体的には毎週1回、原則として30分間を部下と1対1のコミュニケーションの時間に充てるものです。
この時間では、成果の確認、評価といった通常業務に関する面談に加え、仕事をするうえで気付いたことや、悩み相談なども行うことが1on1ミーティングの大きな特徴です。
「ただでさえ業務過多で、仕事の時間を取ることさえ難しい状況のなか、毎週30分もコミュニケーションに時間を取るのは大変」と思われるかもしれません。
実際に、そうした状況で1on1ミーティングを実施することに否定的な意見もあるようです。しかし長期的な視点で見れば、1on1ミーティングには次のようなメリットがあります。
【上司と部下の間に信頼関係が構築される】
上司と部下の間に信頼関係を構築するには、コミュニケーションをしっかりと取ることが重要であることはすでに説明しました。
そして、このコミュニケーションを取るうえで最も重要なことは接触頻度です。3カ月に1回、ゆっくりと時間を取って話すよりも、たとえ5分、10分でも毎週対面で話したほうが信頼関係を構築しやすくなります。
【信頼関係が生まれることで業務スピードが上がる】
コミュニケーションにより意思疎通が図れていれば、いざという時にも迅速な行動が取れるようになり、業務スピードが上がります。
これは信頼関係が構築されているからこそであり、そういった意味では時間をかけてでもそういった関係性を築くことで、結果として業務過多の現状を変えることも可能になるのです。
マネジメントに必要なコミュニケーションスキル”コーチング”
上司と部下の信頼関係構築に、1on1ミーティングは大きな効果を発揮します。しかし、ただ時間を取って話し合いをすればよいというわけではありません。1on1ミーティングで最大の効果を得ていくためには、下記について注意しましょう。
【話し合うべき内容を先に決めておく】
限られた時間を有効に使うためにも、事前に話し合う内容を決めておきましょう。何も決めずに自由に話そうとすると、結局、意味のない会話ですぐに時間が過ぎてしまいます。30分であれば3～4の議題を決め、それに沿って話すようにしましょう。
【上司のコーチング研修をしっかりと行う】
1on1ミーティングでは、少ない時間のなかで部下との信頼関係を構築していきます。そこで重要となるのが上司のコーチング力です。
上司のコーチング力を養うための研修を行うことで、1on1ミーティングの質が向上。部下の意見、悩みを聞きながら、部下自身が何をすべきか気づき、自ら行動に移せるようなコミュニケーションを心がけることで信頼関係がより一層深まります。
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