労働市場の現在と今後
いま、日本は空前の人手不足と言われています。さまざまな場面で人手不足を実感されている方も多いでしょう。ここでいくつかの数字を見てみましょう。
総務省統計局の発表によれば、2019年1月1日時点の日本の総人口は1億2631万7000人。前年同月に比べ27万5000人減少しています。
主な働き手となる15~64歳の生産年齢人口は7531万7000人で、前年同月に比べ49万人減少となっています。
生産年齢人口は現時点で総人口の60%を切っていますが、多くの資料が、今後も総人口・生産年齢人口ともに長期的に減少すると予測しています。
国立社会保障・人口問題研究所の予測では、日本の総人口は2060年には8674万人に減少、生産年齢人口は4418万人になり、総人口との割合は約51%です。
ところで、生産年齢人口とは別に、国の経済力や潜在的成長力を示す指標の一つに「労働力人口」があります。生産年齢人口は15~64歳の人口であり、たとえば現在67歳で働いている人、あるいは、働く意欲を持っている人は含まれません。
この「労働力人口」の推移を見てみると、2018年平均で6830万人。前年に比べ110万人の増加であり、6年連続の増加となっています(総務省統計局)。
生産年齢人口は減少しているのに労働人口は増えている。その要因として挙げられるのが、働く女性とシニア層の増加です。つまり、生産年齢人口の減少を女性や高齢者の社会進出が補っている状態です。そしてこの傾向は、今後10年程度は継続すると考えられています。
ダイバーシティの重要性
女性や高齢者の社会進出が増加していると言っても、それで人手不足が解消されているということではありません。現実にさまざまな業種で人手不足が問題になっています。こうしたなか注目されるのが外国人労働者です。
2019年3月に政府は、出入国管理および難民認定法(入管法)、法務省設置法の一部を改正しましたが、その理由は「人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野に属する技能を有する外国人の受け入れを図るため」です。
人材確保のためには女性、高齢者、外国人、つまり、性別、年齢、国籍を問わず多様な人材を積極的に活用していかなければならないということです。
これは、ビジネスの世界でここ数年重要な考え方として捉えられてきた「ダイバーシティ」とある面で合致すると言えるでしょう。
ダイバーシティ(Diversity)は多様性ということですが、その多様性は、性別、年齢、国籍だけではなく、人種や宗教、障がい、性的指向、価値観、ライフスタイルなどさまざまなものを含みます。ビジネスの世界ではこうした多様性を認め、そのうえで積極的に採用、活用することが重要なテーマになっています。
多様な人材が集まるメリット
多様性を認め、そのうえで積極的に採用、活用することが企業にとってどのようなメリットがあるのでしょう?
大きなメリットとしてまず挙げられるのは、人手不足に悩む経営者、組織にとって、必要な人材を確保できるということです。
しかし、ダイバーシティのメリットは、不足している労働力を補うということにとどまりません。
多様な人材が集まることによって、さまざまなアイデアや発想、スキルを組織が持つことになり、「組織全体が新しい価値を生み出す能力が高まる」ということが重要な点です。
多様な社員がいれば、多様化する顧客ニーズ対して、より迅速かつ的確に対応することができます。仕事の各場面、たとえば接客において、あるいは営業、マーケティング、商品開発などさまざまな面で、多様なニーズに的確に対応ができます。これは組織の競争力の向上に大きく貢献するでしょう。
また、現在の企業経営にとって必須である創造性・革新性という面でも大きなプラスになります。
なぜなら、創造性・革新性は多様な価値観の中から生まれると言えるからです。多様な価値観を持った人材を確保することは、企業の創造性・革新性に大きなインパクトを与えることになります。
多様性を企業価値につなげるマネジメント
多様な人材を受け入れる際、組織に求められるのがマネジメント力です。
ダイバーシティという考え方によって確保した多様な人材を「いかにマネジメントし、ダイバーシティのメリットを企業の価値向上につなげていくのか」ということが問題になってきます。
そして、これにはマネジメントする側、個々の人材、双方の意識の持ち方が大きく関わってきます。
少子高齢化、人口減少にともない働き手が不足している現在、人手不足解消にとってダイバーシティという考え方は、人材の採用面で非常に重要です。そして同時に、多様な人材を生かすマネジメントが求められる時代になっているのです。
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